映画女優　フロリンダ・ボルカン　Florinda Bolkan ／ LONELY-BIGI

Florinda Bolkan　　

フロリンダ・ボルカン

本名： Florinda Soares Bulcao
生年月日： 1942年2月15日
出身地：ブラジル／シマラ
身長： 175cm

　父はブラジルの詩人で代議士。彼女は父が60歳の時に18歳の若妻との間に出来た子で、ブラジル原住民とポルトガル、フランス、イタリア系移民の混血。父が亡くなった後、働きに出たが、カモシカのような脚線美とエキゾチックな美貌が認められ、VARIG航空の親善大使として世界各国を回るチャンスを与えられる。その後、パリに落ちつき、ソルボンヌ大学で美術を聴講。
　1967年にイタリア人の友人に招かれてローマを訪れた際に、巨匠ルキノ・ヴィスコンティと運命的な出会いをする。彼女をヴィスコンティは絶対に女優になるべきだと熱心に説得。ヴィスコンティのお墨付きを貰い、クリスチャン・マルカン監督の1968年「キャンディ」でリンゴ・スターの姉役を演じ、出番は短いが強烈な印象を残す映画デビューをする。同作は、エヴァ・オーリン、リンゴ・スター、マーロン・ブランド、ジェームズ・コバーン、エルサ・マルティネリといったオールスター・キャスト出演の大作映画で、そのサイケデリックでポップな作風からカルト映画として名高い作品。
　美女に操られ、ついには理性を失って殺人を犯し、果てに発狂する夢多き男の悲劇を描く、ダミアーノ・ダミアーニ監督の白日夢を映像化したような物語1969年「痴情の森」では、カトリーヌ・スパーク、ジョン・ソレルらと共演。
　同年には、恩師ヴィスコンティの大問題作「地獄に堕ちた勇者ども」に出演。ヘルムート・バーガー扮する主人公マルティンの愛人である娼婦オルガ役を演じている。
　ある殺人課長が犯した殺人によって、警察内部に湧き起ったさまざまな波紋を描いて権力機構の愚かしさを徹底的にあばきたてた、エリオ・ペトリ監督の話題作1970年「殺人捜査」では、殺害されてしまうローマ警察課長の愛人アグスタ役で出演した。
　同年、名優エンリコ・マリア・サレルノが監督したメロドラマ「ベニスの愛」では、白血病に冒されたヒロイン役を演じ、イタリアのオスカーであるダヴィッド・ディ・ドナテッラ賞の最優秀主演女優賞を受賞している。
　翌1971年には、30年戦争末期、外敵から守るために傭兵の占領を許したある村を背景に、武力と宗教的迷信がうずまく恐怖の中で、村を戦禍から守り抜こうとした1人の男を描く、ジェームズ・クラベル監督のイギリス映画「最後の谷」でマイケル・ケイン、オマー・シャリフの2大スターを相手にヒロイン役を演じた。
　同年には、日本ではグロテスクなホラーを撮る監督という印象の強い、ルチオ・フルチ監督のスタイリッシュでシュールな映像をふんだんに散りばめ、非常に官能的で美しいサスペンス映画「幻想殺人」にイギリスの有力政治家の娘キャロル・ハモンド役で主演。彼女は毎晩のように同じ悪夢にうなされる…。同作は、欧米ではカルト映画として非常に人気の高い作品。
　翌1972年にもフルチ作品に出演、同監督の「マッキラー」に、村人にリンチされて殺されてしまう、呪術を使うと噂されるジプシー女役で主演している。
　同年、金庫破りの名人、“ビッグマン”と呼ばれるにふさわしい男が、命を賭けて保険会社の金庫に眠る200万ドルを強奪する姿を描く、ミケーレ・ルーポ監督の「ザ・ビッグマン」で金庫破りのプロの妻アンナを演じ、カーク・ダグラス、ジュリアーノ・ジェンマと共演。
　3人の男に強姦された神に仕える尼僧と修道院の女性徒が生命を守るために、男たちと闘うという暴力を扱ったサスペンス映画、フランコ・プロスペリ監督の1978年「白昼の暴行魔」では尼僧のクリスチナを演じ、文字通りボロボロにされていた。
　1988年には、運命の女性を追い冬のケベックに向かう若者の遍歴を描くラヴ・ロマンス、マイケル・ホフマン監督の「ダルク家の三姉妹」にダルク夫人役で出演、パトリック・デンプシー、ジェニファー・コネリーらと共演した。
　近年では、ファビオ・バレット監督のロマンス映画1998年「囁いて、もっと」に出演、ナターシャ・ヘンストリッジ、アンドリュー・マッカーシーらと共演している。
　彼女は、女流プロデューサーのマリーナ・チコナの“秘蔵っ子”としてリチャード・バートンや「ビッグマン」で共演したジュリアーノ・ジェンマらと浮名を流したことでも有名。